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監理団体とは?入管法に詳しい弁護士が解説
監理団体とは
監理団体の役割
団体監理型技能実習制度における監理団体の役割は、①外国の送出機関と協力して、技能実習生(外国人)と実習実施者(受入企業)の雇用関係成立のあっせんを行うこと、及び、②実習監理(入国後講習等を通じての技能実習生の適切な教育、実習実施者の技能実習計画作成の指導、定期的な監査、継続的な訪問指導等)を行うことです。一般的に、技能実習を行う場合は団体監理型技能実習となりますが、その場合、受入企業は、技能実習の最初から最後まで、必ず監理団体を利用することになります。
したがって、企業としては、適正な運営を行なっている監理団体を選定する必要があります。裏を返せば、監理団体としては、外部監査人に法的専門家である弁護士を選任するなどして適正に運営し、企業から選ばれる団体であり続けることが必要となります。
一般監理団体と特定監理団体
一般監理団体は、一般監理事業の許可を受けています。一般監理事業の許可を受けると第1号から第3号までの全ての段階の技能実習についての監理事業を行うことができます(技能実習法23条1項1号)。
他方、特定監理団体は、特定監理事業の許可を受けています。特定監理事業の許可を受けると第1号と第2号の技能実習についての監理事業を行うことができます(技能実習法23条1項2号)。
一般監理事業の許可を受けるためには、技能実習の実施状況の監査その他の業務を遂行する能力につき高い水準を満たす必要があります(技能実習法25条1項7号)。具体的には、①実習の実施状況の監査その他の業務を行う体制、②技能等の習得等に係る実績、③法令違反・問題の発生状況、④相談・支援体制、⑤地域社会との共生の各項目についてポイント(点数)評価され、合計が6割以上であれば、高い水準を満たすものとされています(技能実習法施行規則31条)。
監理団体になるための要件
監理団体になるための基本要件
監理許可を受けるための基準として次のようなものがあります(技能実習法23条、25条1項各号)。
①非営利法人であること。
商工会議所・商工会、中小企業団体、職業訓練法人、農業協同組合、漁業協同組合、公益社団法人、公益財団法人等
②監理事業を適正に行うに足りる能力を有するものであること。
Ⅰ 実習実施者に対する定期監査(頻度は3か月に1回以上、監査は以下の方法によることが必要)
ア 技能実習の実施状況の実地確認
イ 技能実習責任者及び技能実習指導員から報告を受けること
ウ 在籍技能実習生の4分の1以上との面談
エ 実習実施者の事業所における設備の確認及び帳簿書類等の閲覧
オ 技能実習生の宿泊施設等の生活環境の確認
Ⅱ 第1号の技能実習生に対する入国後講習の実施(適切な者に対しては委託可能であることを明確化)
Ⅲ 技能実習計画の作成指導
・ 指導に当たり、技能実習を実施する事業所及び技能実習生の宿泊施設を確認
・ 適切かつ効果的に技能実習生に技能等を修得させる観点からの指導は、技能等に一定の経験等を有する者が担当。
Ⅳ 技能実習生からの相談対応(技能実習生からの相談に適切に応じ、助言・指導その他の必要な措置を実施)
③監理事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有するものであること。
④個人情報を適正に管理し、団体監理型実習実施者等及び団体監理型技能実習生等の秘密を守るために必要な措置を講じていること。
⑤外部役員又は外部監査人を設けていること。
⑥基準を満たす外国送出機関との間で取次ぎについての適正な契約を締結していること。
⑦一般監理事業の許可申請をする場合は、申請者が優良な監理団体(前記のとおり)であること。
⑧監理事業を適正に遂行することができる能力を有するものであること。
以下を満たさない場合は、監理事業を適正に遂行する能力があるとは判断されません。
・ 監理費は、適正な種類及び額の監理費をあらかじめ用途及び金額を明示した上で徴収(技能実習法28条)
・ 自己の名義をもって、他人に監理事業を行わせてはならないこと(技能実習法38条)
・ 適切な監理責任者が事業所ごとに選任されていること(技能実習法40条)※ 監理責任者は事業所に所属し、監理責任者の業務を適正に遂行する能力を有する常勤の者でなければなりません。また、過去3年以内に監理責任者に対する講習を修了した者でなければなりません。
この他、欠格事由(技能実習法26条)に該当しないことも要件となります
養成講習について
技能実習法では、①監理団体において監理事業を行う事業所ごとに選任することとなっている「監理責任者」、②監理団体が監理事業を適切に運営するために設置することとなっている「指定外部役員」又は「外部監査人」、③実習実施者において技能実習を行わせる事業所ごとに選任することとなっている「技能実習責任者」について、いずれも3年ごとに、主務大臣が適当と認めて告示した講習機関(以下「養成講習機関」といいます。)によって実施される講習(以下「養成講習」といいます。)を受講しなければならないと定められています。
また、監理団体の「監理責任者以外の監査を担当する職員」や、実習実施者における「技能実習指導員」及び「生活指導員」については、養成講習の受講は義務ではありませんが、これらの者に対し3年ごとに養成講習を受講させることが、優良な監理団体又は優良な実習実施者と判断する要件の1つとなっており、受講が推奨されています。
監理団体設立までの流れ
監理許可申請に要する時間は、申請受理から最短でも概ね3~4ヶ月を要します。これは申請書類や添付資料に不備がない場合であり、不備がある場合は、さらに時間を要します。
そのため、申請受理される時点までに、丁寧に要件と必要書類のチェックをする必要があります。
なお、事業協同組合の設立から始めるなら、全体で概ね12ヶ月要すると見ておくのが無難でしょう。
2027年(令和9年)開始の育成就労における監理支援機関とは
2027年(令和9年)開始の育成就労における監理型育成就労において、原則として、監理支援機関が、①育成就労外国人と育成就労実施者(受入企業)の雇用関係の成立のあっせん、及び、②育成就労実施に関する監理を行います。
こう見ると、現行の技能実習における監理団体と新しい育成就労における監理支援機関はよく似ているように見えますが、別の許可になりますので、監理団体がそのまま自動的に監理支援機関に移行できる訳ではありません。また、監理団体に対する監査体制は、外部役員又は外部監査人によるものとされていましたが、監理支援機関に対する監査体制は、外部監査人を必ず選任し、外部監査人によらなければならなくなります(育成就労法25条1項5号)。
外部監査人を必置としたのは、出入国管理庁(外国人育成就労機構)が、不適切な運営を行う監理支援機関を認めないという強い意向を持っていることの表れだと思われます。現行の監理団体の多くは、育成就労制度において、監理支援機関の許可を目指すことになると思われますが、今から、弁護士等の専門家のサポート受けてながら、出入国関連、社会保険関連、労働関連法令にしたがったコンプライアンス運営を行っていく必要があります。
監理団体設立を検討されている方、今後監理支援機関の設立を予定されている方は白﨑識隆法律事務所までご相談ください。
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