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海外にいる外国人を雇用する場合の流れとは?入管法に詳しい弁護士が解説

海外にいる外国人を雇用する場合の流れ 

事前調査・面接 

外国人が日本国内で就労する場合、その就労に関する具体的な仕事が可能な在留資格を保有している必要があります。したがって、まず、企業において、どのような仕事をする人材が獲得したいかを検討します。その次に、その仕事をしてもらうためには、どのような在留資格が必要かを検討します。ここで、専門家のアドバイスが必要となるでしょう。 

その結果、ある職種・作業に従事してもらう技能実習生に来てもらいたいということになった場合、団体監理型技能実習(一般的にはこれになります。)であれば、外国人採用は、必ず監理団体を通じて行う必要があります。したがって、企業が技能実習生を採用する場合は、監理団体にコンタクトをとることになります。その後、監理団体を介しての国外の送出機関から人材の紹介を受けることになります。 

他方、その仕事からして、特定技能や技術・人文知識・国際業務(以下「技人国」といいます。)の在留資格に該当する人材に来てもらいたいということであれば、エージェント、職業紹介事業者を利用することが一般的になります。この場合、日本国内の職業紹介事業者は、単に許可を得ているだけでなく、その外国に居住する外国人を国内企業に紹介するために必要な国外届出を出している必要がありますので、企業も、この点を確認して、適法な業者から紹介を受ける必要があります。 

面接は、必ずしも直接会うことが求められている訳ではありませんが、やはりオンライン面談とリアル面談では差があります。できれば、リアル面談をすることが、求人側、求職側双方にとってミスマッチ回避に繋がることになると思われます。 

内定・雇用契約の締結 

内定及び雇用契約については、日本人に対するのと同様、日本の労働関連法規に即して行う必要があります。もちろん、言語の問題はありますが、特に、技能実習生や特定技能外国に対しては、彼らが理解できる言語により、より慎重かつ丁寧に説明を行う必要があります。 

技能実習の「雇用契約書及び雇用条件書」の記載例はこちらを参照して下さい。 

https://www.otit.go.jp/files/user/r240531_14.pdf 

特定技能の「雇用条件書」はこちらを参照してください。特定技能雇用契約書と合わせて使用します。 

https://www.moj.go.jp/isa/content/001338921.pdf 

この記載例は日本語ですが、その外国人が理解できる言語により翻訳したもので説明する必要があります。 

やはり、トラブルの元になりがちなのは、賃金、就業時間、休憩、休日に関しての認識の不一致です。いずれも、労働契約において最重要の事項ですが、言葉の問題もありますので、慎重かつ丁寧な説明が必要です。特に、賃金においては、控除項目(源泉所得税、住民税特別徴収、社会保険料、住居費負担金など)や見込み金額を伝えて、手取りをしっかりと説明しておく必要があります。日本での就労が2年目になると、前年の収入に対する住民税の特別徴収が始まりますので、その点もしっかりと説明しておくことが肝要です。 

在留資格認定証明書の申請 

外国人が国外にいて、現在、何らの在留資格を保有していない場合、当該外国人について、在留資格認定証明書(COE)の交付申請をする必要があります。国外から、日本の入管に申請することは現実的ではありませんので、日本に在住する親族や雇用予定の企業が代理人となって申請することもできます。もちろん、代理人が、弁護士や行政書士に申請取次を依頼することもできます。 

外国人が日本で就労するにあたって、不法就労を予防し、今後の更新を円滑に進めるために、適切な在留資格を適正に取得することは非常に重要です。したがって、企業としては、在留資格認定証明書交付申請を外国人任せにするのではなく、積極的に関与し、弁護士等の専門家に依頼するのがよいでしょう。 

就労ビザの申請 

当該外国人が何らかのビザを有している場合、そのまま就労することができる場合と在留資格を変更する必要がある場合があります。 

在留資格変更許可申請をする場合、外国人が日本に在留することから、在留資格認定証明書交付申請に比べると、本人が専門家の手を借りずに手続をするハードルは低いです。しかし、企業にとっては、これから自社で働く外国人がどのような申請をするかによって許可されるかどうかの結論が変わり、必ずしも適切ではない申請によって許可を得ていると今後の更新がうまくいかないことがあり、影響を受けます。 

したがって、この場合も、企業としては、在留資格変更許可申請を外国人任せにするのではなく、積極的に関与し、弁護士等の専門家に依頼するのがよいでしょう。 

なお、外国人において、所属機関変更届を提出する必要もあります。懈怠には罰則があります。 

留学生・日本の別会社で働く外国人を雇用する場合の流れ 

留学生の場合 

留学生が保有する在留資格は留学ビザです。留学ビザでは、就労することはできません。留学生の多くは、資格外活動許可を得て週28時間以内でアルバイトをしていますが、このまま、就労を中心とした在留を継続することはできません。 

したがって、留学生を雇用する場合、その留学生が従事する仕事に合わせた就労ビザへの在留資格変更許可申請をする必要があります。技能実習、特定技能、技術・人文知識・国際業務への変更が多いと思われます。ただ、特に、日本の大学を卒業した外国人の場合は、技術・人文知識・国際業務だけでなく、高度専門職や特定活動46号といった就労ビザへ変更できる可能性もありますので、専門家に相談されることをお勧めします。 

日本の別会社で働く外国人の場合 

一番注意が必要なのはこのパターンです。 

現行の技能実習生については、原則として転籍は認められず、やむを得ない場合に限られ、在留資格変更許可申請が必要になります。 

特定技能外国人の場合は、転職する場合は、同一の特定産業分野・業務区分である必要がある場合に限られ、在留資格変更許可申請が必要になります。 

技術・人文知識・国際業務ビザ(以下「技人国ビザ」といいます。)の場合、技人国ビザで認められた就労活動であれば、在留資格自体を変更する必要はありません。しかし、転職後の仕事の内容が技人国ビザで就労可能な仕事でなく、にもかかわらず、そのまま就労すると、外国人本人は不法就労(資格外活動罪)、企業は不法就労助長罪になってしまいます。外国人雇用に精通していない(専門家への相談ルートがない)企業においては、このパターンの不法就労助長が起こりがちになります。例えば、技人国ビザ保有者が転職活動の途中で、3ヶ月間だけ、食品製造工場のラインで勤務したというケース、貿易業務に従事するとして技人国ビザを取得していた外国人を、企業が、就労ビザを有しているので大丈夫と判断し、もっぱら日本人客が占めるカフェにおいて、ホールスタッフとして採用したというケースでは、いずれも前記の犯罪になってしまいますので注意が必要です。 

入社後に行う手続き 

社会保険・雇用保険への加入手続き 

社会保険や雇用保険の加入手続きについては、日本人労働者と変わることなく行う必要があります。 

厚生年金等への加入手続き 

70歳未満の外国人が、厚生年金強制適用事業所に常時使用される場合は、厚生年金等への加入手続きを行う必要があります。 

外国人雇用状況の届出 

外国人を雇用した場合、ハローワークに対し、雇入月の翌月10日までに労働施策総合推進法に基づく届出が必要となります。具体的には、雇用保険の取得届に記載して報告する場合は、雇用保険被保険者資格取得届の備考欄に記載して、雇用保険の加入義務がない場合は外国人雇用状況の届出書(様式第3号)を提出して行います。記載すべき内容は、外国人労働者の氏名、在留資格、生年月日、性別、国籍、資格外活動許可を受けている場合にはその旨、雇い入れ日、事業所の名称・所在地などです。 

なお、離職の場合は離職日の翌日から起算して10日内に同様に届出が必要となります。 

採用活動を行う上での注意点 

就労が認められる業務内容か 

永住者、特別永住者、定住者、日本人又は永住者の配偶者等の就労制限のない身分系の在留資格でない限り、就労が認められる在留資格であったとしても、いわゆる風営法(風適法)関連の業務については、就労が認められません。資格外活動許可を得ていて、週28時間以内であっても認められませんので注意が必要です。 

就労可能な在留資格になっているか 

外国人が、受入企業が望む仕事に従事する在留資格を保有しているかの確認が必要です。永住者、特別永住者、定住者、日本人又は永住者の配偶者等の就労制限のない身分系の在留資格でない限り、在留資格には、その在留資格で認められる業務が決まっていますので、単に、就労可能な在留資格を有しているからといって、採用することはできないのです。 

更新切れになっていないか 

意外に多いのが、うっかりと在留資格の有効期間が満了して、オーバステイになっているケースです。 

在留カードが真正なものである限り、在留カードを見ればすぐに分かるのですが、外国人の採用に慣れていないと、見落としてしまいますので、しっかりと確認して下さい。 

もちろん、在留カードを見るだけでなく、在留カードの有効性・真正性を確認する必要があります。出入国在留管理庁在留カード等番号失効情報照会ページ 

https://lapse-immi.moj.go.jp/ZEC/appl/e0/ZEC2/pages/FZECST011.aspx)、及び、在留カード等読取アプリ(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/rcc-support.htmlからダウンロード可能)で確認できます。 

当該外国人が、在留期間更新許可申請中又は在留資格変更許可申請中である場合在留期間の満了の日から2月が経過する日が終了する時までは、引き続き従前の在留資格をもって我が国に在留できます。在留カード裏面に申請中であることが記載されますが(オンライン申請の場合は申請中である旨のメールが配信されます。)、企業としては、そのような状況で新規に採用することことは差し控えるのが無難でしょう。在留資格更新又は変更されてから採用するのが望ましいです。 

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