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監理団体変更の手続とは?技能実習法に詳しい弁護士が解説

1 監理団体の役割

一般的に、企業が技能実習生を受け入れる場合、監理団体と契約しなければなりません。

監理団体は、海外の送出機関と契約し、企業と技能実習生との雇用関係の成立のあっせん及び企業(実習実施者)に対する技能実習の実施に関する監理を行います。

監理団体の具体的には主な役割や業務は以下のとおりです。

  • 外国の送り出し機関との契約、求人・求職の取次(雇用契約のあっせん)など
  • 技能実習計画の作成指導
  • 入国後講習の実施
  • 訪問指導(技能実習1号)
  • 監査業務(定期監査(3か月に1度)・臨時監査)
  • 技能実習生の保護・支援

2 監理団体を変更する状況

実習実施者である企業は監理団体と監理契約を締結し、監理費用を支払うことになります。当然、企業は、監理団体に費用に見合う監理サービスの提供を期待することになります。

しかし、時には、費用に見合う監理サービスの提供を受けられていないということなどをきっかけに、企業として監理団体の変更を検討することがあります。もっとも、次に見るように、監理団体の変更は、相当複雑な手続と時間を要しますので、一般的には、簡単に変更することは差し控えるべきだといえます。単に、監理費用の価格にこだわって、「安かろう悪かろう」になってはいけません。企業として、監理業務に納得がいかない部分がある場合は、まずは監理団体と話し合って解決を図ることが優先事項となります。例えば、監理団体は、法律の専門家ではありません。企業として、技能実習生に関して、入管法、技能実習法、労働関連法令、社会保険法令に関する質問や手続等に、監理団体が迅速かつ適確に対応してくれないことがあったとしても、それは過度な期待となります。そのような場合は、企業が法律専門家と顧問契約をするなどして解決していく必要があります。

とはいえ、監理団体の業務には、法令上求められているものがあります。例えば、訪問指導や監査などです。監理団体の中には、これらの業務を行っていないのにもかかわらず、行ったことにして、虚偽の書類を技能実習機構に提出するものもあります。企業としては、法令を知しらなかったということで済まされず、違法に加担することになる訳です。

したがって、諸般の事情により監理団体との信頼関係がどうしても維持できない場合だけでなく、監理団体が法令を遵守しない場合は、監理団体を変更せざるを得ません。

3 具体的手続

(1)フロー

監理団体変更へのフローは以下のとおりです。

新しい監理団体と打合せをする

  • 新しい監理団体の選定、打ち合せをする。
  • 現在の監理団体に変更を伝える。
  • 新しい監理団体から必要書類を取得する。
  • 新しい監理団体と送出機関(外国)との契約
  • 技能実習計画の変更認定申請
  • 監理団体変更完了

(2)必要書類の引き継ぎ

企業から新しい監理団体には以下の書類を交付します。

  • 雇用条件明示書
  • 実習生のタイムカードまたは出勤簿(直近3ヶ月)
  • 実習生の賃金台帳(直近3ヶ月)
  • 就業規則関係
  • 建設業法第3条の許可証(建設業の場合)
  • 建設キャリアアップシステム(CCUS)登録申請を証する書類(建設業の場合)
  • 宿舎の図面
  • 技能実習責任者講習受講証
  • 委任状
  • 技能実習計画変更認定申請書(省令様式第4号)
  • 技能実習生の監理団体変更に伴う合意書

(3)合意書の要否

ここで、上記(2)⑩の合意書について補足します。

技能実習機構の「よくあるご質問(その他)」No.3-1には、「対象となる実習実施者、実習生、変更前後の監理団体及び取次送出機関の5者の間で、監理団体の変更について同意を得ることが望まれます。」との記載があります。確かに、監理団体の変更に伴うトラブル予防のためには、このような合意書を取得できればそれに越したことはありません。しかし、現在の監理団体が、定期監査を実施しない、虚偽の報告書を提出するといった法令違反を行う団体であった場合、そのような監理団体から記名押印を取得することが期待できるでしょうか。連絡をしても放置されることなどは容易に想像がつきます。そのことで、監理団体の変更が滞り、技能実習ができず、技能実習生に不利益が生じることはあってはならないことです。

もとより、監理団体の変更は、技能実習計画の変更になるところ、技能実習法11条には、上記5者の合意は要件とされていません。したがって、やむを得ない事由がある場合は、5者全てによる合意書は不要であると考えます。

やむを得ない事由があると考えられる場合は、技能実習機構地方事務所認定課に速やかに相談することが重要です。

4 最後に

監理団体の変更は、必ずしもすべての企業にとって最善の道とは限りません。

変更手続には、多くの関係機関との調整や数ヶ月という長い期間を要することがあります。したがって、日頃から現在の監理団体と密に連絡を取り合い、何か問題があれば早めに話し合い、解決していくことが、変更の必要性を最小限に抑えることにつながります。

しかし、やむを得ない事由により、監理団体を変更せざるを得ない場合は、影響を受ける技能実習生にも変更の理由や目的を丁寧に説明し、理解してもらうよう努めることが大切です。新しい監理団体のサポート体制が、技能実習生にとって安心できるものであるかどうかも、重要なポイントとなります。

その上で、新しい監理団体や専門家の指導の下、変更手続を進めていくことになります。

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