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育成就労に関するQ&A

技能実習制度に変わる育成就労制度が開始されるまで、もう2年を切っています。そこで、現時点で判明している事項をQAの形で説明します。 

 

Q 今回の法改正は、何のために行われたのですか? 

A 今回の法改正では、技能実習制度を発展的に廃止し、人材育成と人材確保を目的とした「育成就労制度」が新たに創設されました。これにより、これまでの技能実習制度が抱えていた問題を解決し、さらに育成就労制度と特定技能制度を連携させることで、外国人が日本で働きながらキャリアアップできる、より明確な制度を構築し、長期にわたり日本の産業を支える人材を確保することを目指します。 

 

Q 育成就労制度と改正特定技能制度はいつ始まりますか? 

A 育成就労制度と改正後の特定技能制度は、2027年6月までに開始されます。 

 

Q 現在、技能実習生を受け入れていますが、制度が育成就労に変わっても受け入れは続けられますか? 

A  育成就労制度で外国人を受け入れるには、受け入れを希望する産業分野が「育成就労産業分野」として指定されている必要があります。この分野は、生産性向上や国内での人材確保に努めてもなお外国人材の受け入れが必要な分野の中から、就労を通じて技能を習得させることが適切と判断されたものです。今後発表されますが、現実的に考えて、技能実習制度における職種・作業に指定されている業務は、「育成就労産業分野」として指定される可能性が高いでしょう。 

なお、施行日にすでに日本に在留している技能実習生については、一定の範囲内で技能実習を継続することが可能です。 

 

Q 技能実習制度には「企業単独型」と「団体監理型」がありますが、育成就労制度でも同じですか? 

A 育成就労制度でも、技能実習制度と同様に「単独型育成就労」と「監理型育成就労」の2つの区分が設けられています。単独型は外国の支店や子会社の社員を受け入れる形態で、監理型は監理支援機関が関与する形態です。圧倒的多数の企業は、「監理型育成就労」を利用することになるでしょう。なお、単独型で受け入れられる外国人の範囲が技能実習制度と異なります。 

 

Q 技能実習生の受け入れはいつまでできますか? 

A 外国から新たに技能実習生を受け入れる場合、2027年6月までに技能実習計画の認定申請が完了し、原則として施行日から3か月以内に実習を開始するケースが対象となります。制度移行に関する詳細な申請手続きについては、今後発表されます。 

また、施行日時点で既に日本に滞在している技能実習生は、引き続き認定された計画に基づいて技能実習を継続できます。 

 

Q 育成就労制度と技能実習制度は何が違いますか? 

A 技能実習制度は、技能の習得を通じて国際貢献を目的としていますが、育成就労制度は日本の人手不足分野での人材育成と人材確保を目的としており、制度の根本的な目的が異なります。 

この目的の違いから、育成就労制度では外国人労働者の権利保護を強化し、以下の変更を加えられています。 

  • 転籍の容認: 一定の条件下で、外国人本人の希望による転籍を認めます。 
  • 受け入れ分野の限定: 特定の産業分野(生産性向上や国内人材確保に努めても外国人材が必要な分野)に絞り込みます。 
  • 育成目標: 原則3年間の就労を通じて、特定技能1号の水準に達する人材を育てることを目指します。 

 

Q 育成就労制度と特定技能制度は何が違いますか? 

A 両制度は、どちらも深刻な人手不足に対応するためのものですが、受け入れる人材のレベルが異なります。 

  • 育成就労制度: 入国時点では特定の専門性や技能が求められず、日本で人材を育成することを想定しています。 
  • 特定技能制度: 一定の専門性や技能を持つ、即戦力となる人材を想定しています。 

また、在留期間も異なり、育成就労は原則3年、特定技能1号は上限5年、特定技能2号は上限がありません。 

さらに、育成就労制度には、育成就労計画の認定制度や監理支援機関の許可制度、高額な手数料の排除など、外国人保護のための仕組みが設けられています。一方、特定技能制度では、受け入れ機関に外国人への支援義務が課されています。 

 

Q 育成就労制度では、外国人は何年働けますか? 

A 育成就労制度を利用する外国人は、原則として3年間の就労を通じて人材育成を受けます。 

なお、3年を経過しても、特定技能1号への移行に必要な技能・日本語能力試験に不合格だった場合は、最長1年間、引き続き日本に滞在できる可能性があります。 

 

Q 育成就労外国人が働ける分野はいつ決まりますか? 

A 育成就労制度の受け入れ対象となる「育成就労産業分野」は、2027年6月までに、有識者や労使団体などで構成される新しい会議体の意見を聞いて決定されます。 

 

Q 育成就労制度では、どこの国からでも外国人を受け入れられますか? 

A 悪質な送出機関を排除する取り組みを強化するため、原則として、二国間の取り決め(協力覚書)を締結した国からのみ受け入れを行う方針です。詳細は今後、公表されます。 

 

Q 育成就労制度で外国人を受け入れる手続きは、技能実習制度と変わりませんか? 

A  育成就労計画(技能実習計画)の認定手続きなど、基本的な流れは変わりません。ただし、技能実習制度では段階ごとに計画の認定が必要でしたが、育成就労制度では、当初から3年間の計画を作成し、認定を受けることになります。 

 

Q 育成就労制度では、「夏は農業、冬は漁業」のように、複数の分野で働くことはできますか? 

A  人材育成の一貫性を確保するため、例えば「農業」と「漁業」のように、分野をまたいで働くことはできません。 

 

Q 派遣の形で育成就労を行うことはできますか? 

A  季節性のある分野(農業や漁業など)に限り、派遣元と派遣先が共同で育成就労計画を作成・認定を受けることで、派遣の形態で育成就労を実施できます。この場合、育成就労計画を申請する際に、あらかじめ派遣先ごとの派遣時期を定めておく必要があります。 

 

Q 育成就労制度の監理支援機関は、技能実習制度の監理団体と何が違いますか? 

A 監理支援機関は、監理団体と同様に主務大臣の許可を得て、国際的なマッチング、受け入れ機関への指導、外国人材の支援・保護などを行います。育成就労制度では、これらの機能をより強化するため、許可要件の見直しを予定されています。例えば、受け入れ機関と密接な関係にある役職員の関与を制限したり、外部監査人の設置や受け入れ機関数に応じた職員配置を義務付けたりする方針です。 

また、外国人本人の希望による転籍が新たに可能となるため、転籍希望があった場合に、監理支援機関が関係機関との調整役を担うことになります。 

 

Q 監理支援機関の許可申請はいつからできますか? 

A 育成就労制度の円滑な導入に向け、2026年6月頃までには、申請受付を開始される見込みです。 

 

Q 技能実習制度の監理団体は、育成就労制度でもそのまま監理支援機関になれます? 

A  監理団体が育成就労制度の業務を行うには、新たに監理支援機関の許可を取得する必要があります。 

 

Q 技能実習制度にある監理団体の優良要件は、育成就労制度にもありますか? 

A 育成就労制度でも、より質の高い監理支援を促すため、優良な監理支援機関に対して、手続きの簡素化などの優遇措置を設ける予定です。具体的な要件や優遇措置の内容は、今後主務省令などで定められます。 

 

Q 施行日後に監理団体の許可有効期限が切れてしまう場合、どうすればよいですか? 

A  施行日(改正法公布日から3年以内)以降も引き続き技能実習生を受け入れている場合、許可の更新が必要です。ただし、育成就労制度の監理支援機関の許可を取得していれば、技能実習制度における一般監理事業の許可も得ていると見なされるため、別途更新手続きを行う必要はありません。 

 

Q 技能実習制度にある受け入れ機関(実習実施者)の優良要件は、育成就労制度にもありますか? 

A  育成就労制度でも、質の高い受け入れを促すため、優良な受け入れ機関に対して、手続きの簡素化などの優遇措置を設ける予定です。詳細は今後公表されます。 

 

Q 育成就労制度の創設に伴い、受け入れ機関の要件はどのように変わりますか? 

A  育成就労制度の創設に伴う受け入れ機関の要件変更は以下のとおりです。 

  • 人材育成の視点: 技能実習制度と同様に人材育成を目的とするため、受け入れ人数枠を含む育成・支援体制の要件は維持・適正化されます。 
  • 人材確保の視点: 特定技能制度との連携を図るため、特定技能制度と同様に、受け入れ対象分野別の協議会への加入などが新たに要件として加わります。 
  • 国際貢献要件の廃止: 制度目的の変更に伴い、国際貢献を目的とした前職要件や帰国後の業務従事要件などは廃止されます。 

 

Q 育成就労外国人が転籍するための要件は何ですか? 

A  育成就労制度では、パワハラや暴力といった「やむを得ない事情」がある場合の転籍に加え、一定の要件を満たせば、外国人本人の希望による転籍も認められます。 

主な要件は以下の通りです。 

  • 転籍先の業務が、転籍元の業務と同一の区分であること 
  • 転籍元での就労期間が、分野ごとに定められた1年以上2年以下の期間を超えていること 
  • 技能と日本語能力が一定水準以上であること 
  • 転籍先の受け入れ機関が、適切と認められる一定の要件を満たしていること 

詳細な要件は、今後公表されます。 

 

Q 育成就労制度では、家族を帯同できますか? 

A  原則として、家族の帯同は認められません。 

 

Q 入国時に必要な技能や日本語能力の要件はありますか? 

A  技能に関する要件はありませんが、日本語能力については、就労開始前に日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5など)に合格するか、認定された日本語教育機関などでの講習受講が求められます。 

なお、必要な日本語能力のレベルは、育成就労産業分野ごとに、より高い水準に設定される可能性があります。 

 

Q 元技能実習生が再び来日して育成就労制度で働くことはできますか? 

A  過去の技能実習期間は育成就労の期間と見なされるため、2年以上の技能実習を経験した外国人が、再び来日して育成就労制度で働くことは基本的にできません。ただし、技能実習を行った職種に対応する育成就労の受け入れ分野がない場合など、特定の条件下では認められる予定です。詳細は今後、主務省令で定められます。 

 

Q 育成就労制度が始まった時、すでに日本にいる技能実習生はどうなりますか? 

A 2027年6月にすでに日本に滞在している技能実習生は、引き続き認定された計画に基づいて技能実習を継続できます。 

技能実習1号の在留者は、計画認定を受ければ技能実習2号へ移行できます。しかし、技能実習3号への移行は、施行日時点で技能実習2号に在留している人のうち、一定の範囲に限定される予定です。詳細は今後、主務省令で定められます。 

 

Q 特定技能制度は何が変わりますか? 

A 1号特定技能外国人の支援業務の委託先が登録支援機関に限定されます。また、登録支援機関や受け入れ機関の要件も厳格化・適正化されます。さらに、外国人育成就労機構が、育成就労外国人だけでなく、1号特定技能外国人への相談・援助業務も行うことになります。 

 

Q 現在、登録支援機関以外の機関に支援を委託していますが、どうすればよいですか? 

A  改正法の施行後は、1号特定技能外国人の支援業務を登録支援機関に委託するか、受け入れ機関が自ら支援を行う必要があります。 

ただし、経過措置として、改正法施行時に登録支援機関以外の機関に支援を委託していた場合、その外国人が次に在留期間更新を申請するまでの間は、引き続き従来の委託先に支援を任せることができます。もっとも、更新申請時には登録支援機関に委託しなければなりません。 

 

Q 育成就労から特定技能1号への移行要件は、現行の技能実習から移行する場合と違いますか? 

A 現行の特定技能制度では、技能実習2号を良好に修了した人は、移行時の技能・日本語能力試験が免除されます。一方、育成就労制度では、移行要件として技能に係る試験(技能検定試験3級等又は特定技能1号評価試験)と日本語能力に係る試験(日本語能力A2)相当以上(日本語能力試験N4等)など)の両方に合格することが求められます。 

なお、これらの試験に不合格だった場合でも、最長1年間は日本での在留継続が認められる可能性があります。 

 

Q 育成就労の途中で、特定技能1号に移行することはできますか? 

A 育成就労の途中で特定技能へ移行するには、特定技能への移行要件(技能・日本語能力試験の合格)を満たすことに加え、現在所属している受け入れ機関での就労期間が一定の期間を超えている場合に限り認められます。 

 

「育成就労制度・特定技能制度Q&A」(出入国在留管理庁ホームページ) https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/ikusei_qa_00002.htmlをもとに白﨑識隆法律事務所作成

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