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不法就労の罰則とは?不法就労に詳しい弁護士が詳しく解説!

はじめに

不法就労の摘発強化と厳罰化の背景

2026年1月23日、外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議が、「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」(以下「26対応策」といいます。)を公表しました。ここでは、日本に在留する外国人が10年前に比べて約2倍となり、さらに増加傾向にある一方で、このような社会情勢の変化を前提としていなかった外国人関連制度の在り方について国民の関心が高まり、また、一部外国人によるものであるものの、日本の法やルールを逸脱する行為や制度の不適正利用について、国民が不安や不公平を感じる状況も生じており、こうした状況に的確に対処する必要があるとされています。

その一環として、各種在留資格の審査の強化を含む不法就労の摘発強化の方針が定められ、また、不法就労助長罪の法定刑が、「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」から「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」(併科可)へと厳罰化されました(2026年6月14日までに施行)。

企業に係る「不法就労助長罪」とは

不法就労助長罪の定義と法的根拠

不法就労になるのは以下の3つの場合になります。

  1. 不法滞在者や被退去強制者が働く場合(入管法70条1項各号の内4号、6号、9号~12号を除く)
    オーバーステイや、密入国した者が働くこと
    退去強制されることが決まっている人が働くこと など
  2. 出入国在留管理庁から働く許可を受けずに働く場合(入管法19条1項違反)
    留学生、難民認定申請中の者が許可を得ないで働くこと
    観光等の短期滞在目的で入国した者が働くこと など
  3. 働く事が認められている外国人がその在留資格で認められた範囲を超えて働く場合(入管法19条1項違反)
    調理人や、語学学校教師として認められた人が工場で単純労働をすること
    留学生が許可された労働時間を超えて働くこと など

雇用主(企業)が不法就労助長罪に問われる場合

雇用主が、外国人に対し、前記の不法就労をさせた場合に不法就労助長罪が成立します(入管法73条の2第1項)。これには以下の3つの場合があります。

  1. 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた場合
    「不法就労活動をさせた者」には、外国人を直接雇用した者だけでなく、不法就労に強く関与した元請業者なども含まれます。例えば、建設工事において下請業者が不法就労させることに元請業者が強く関与したと認められる場合、処罰の対象となる可能性があります。また、裁判例によると、外国人に対し対人関係上優位な立場にあり、その人の指示によって不法就労をさせることができる程度の関係性がある場合も「不法就労活動をさせた者」に該当するので、経営者だけでなく、管理監督者である従業員も含まれることがあります。さらに、外国人との関係で対人関係上優位であることが重要なので、契約形態は雇用に限られず、委任や請負の場合も含まれます。
  2. 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた場合
    「自己の支配下に置いた」という要件の定義および判断基準については、以下の通り解釈されています。 外国人に心理的ないし経済的な影響を及ぼし、その意思を左右しうる状態に置き、自己の影響下から離脱することを困難にさせた場合を指します。これの認定にあたっては、以下の事情が総合的に考慮されます。
    ・身分証の管理: 旅券(パスポート)や在留カード等を預かる、または取り上げる行為
    ・居住・生活の管理:自己が管理する場所に居住させる、あるいは外部者との交流を禁止・制限する行為
    ・経済的制約:金銭(通帳等)を管理し、経済的な自由を奪う行為
    ・個人的事情の利用:外国人が日本の言語(日本語)や地理に通じていないという事情を背景にした影響力の行使
    例えば、不法に入国した外国人を従業員として雇用する際、その不法就労活動を継続させる目的で、当該外国人の旅券を取り上げた上で、日本語や地理に不案内な事情に乗じて、雇用主が管理する場所に居住させる行為はこれに該当します。
  3. 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は②の行為に関しあっせんした場合
    雇用主(求人者)と外国人(求職者)の間をとりもち、雇用等関係が円滑に成立するように第三者として便宜を図り、その成立を容易にさせる行為を指します。あっせんの構造が直接的である必要はなく、複数の紹介者を経由する多段階の構成(例:A社がB社を紹介し、B社が実際の就業先であるC社を紹介する等)であっても、その連鎖に関与していれば「あっせん」の要件を満たすと判断されます。その行為が雇用関係等の成立を実質的に容易にさせたかどうかが「あっせん」該当性の鍵となります。

不法就労助長罪に問われるよくあるパターン

不法就労であることを知らなかったでは免責されない

企業が外国人を雇用等する際、その外国人が不法就労であることを「知らなかった」としても、そのことに「過失」がある場合には不法就労助長罪に問われます。原則として、不法就労の事実を知らないことを理由に処罰を免れることはできず、過失がないことが証明されない限り、刑事罰の対象となります。

雇用主等に「過失」があると判断される具体的な基準は、以下のとおりです。

在留資格の確認義務:雇用主は、採用時に旅券(パスポート)や在留カード等の原本を確認し、当該外国人が就労可能な在留資格や期間を有しているかを十分に確認する義務があります。在留カードの導入により、不法就労者かどうかの判別は容易になっているため、これを確認していない等の落ち度(確認義務の懈怠)がある場合は過失が認定されます。

「あえて」確認しない場合、不法就労であるとはっきりと認識していなくても、状況からみてその可能性があるにもかかわらず、確認をせずにあえて雇用するような場合、知らないことに過失があったと判断され、処罰を免れません。

元請業者等の責任、直接の雇用主だけでなく、下請業者が不法就労させることに強く関与した元請業者なども、在留資格の確認を怠るなどの過失があれば、本罪の主体となる可能性があります。

在留カードの期限切れを知りながら雇用したケース

当然に不法就労助長罪が成立します。

留学生の「資格外活動許可」の範囲(時間制限)を超えて働かせたケース

当然に不法就労助長罪が成立します。この場合、原則として、1週間あたり、どの曜日から起算しても28時間以内の労働(掛け持ちアルバイトを含みます。)しか認められませんが、その制度について知らなかったことや、時間管理ができていなかったから時間超過を知らなかったなどにより免責されません。

このケースでは、外国人が在留資格の更新や変更の手続きをした際に提出する源泉徴収票等から、週28時間の就労であり得ない収入が確認されて発覚することも多いです。

在留資格で認められた活動範囲外の単純労働をさせたケース

当然に不法就労助長罪が成立します。在留資格制度について不勉強で、どのような活動(仕事)ができるか知らなかったなどにより免責されません。

外国人本人に科される罰則とリスク

外国人本人に対する主な罰則

(1)刑事罰

不法就労を行った外国人に対する主な刑事罰は以下のとおりです。

専従資格外活動罪(入管法第70条第1項第4号):本来の在留資格に応じた活動を行わず、もっぱら資格外活動(不法就労)に従事した場合。3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらが併科されます。

非専従資格外活動罪(入管法第73条):本来の在留資格の活動を行いながら、許可なくその範囲を超えて報酬を受ける活動を行った場合。1年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはこれらが併科されます。

不法残留(オーバーステイ)等:在留期間の満了後も残留し(入管法第70条第1項第5号)、その状態で就労した場合など。3年以下の懲役(拘禁刑)または300万円以下の罰金に処される可能性があります。

(2)行政上のペナルティー

不法就労を行った外国人は、入管法第24条に基づき、日本政府が好ましくないと認める外国人として強制的に国外へ退去させられる「退去強制」の対象となります

また、不法就労や入管法違反の内容により、入国することができない期間(上陸拒否期間)は以下のように体系化されています。

永久(原則):一定の刑事罰に処せられて退去強制された場合。

10年間: 過去に退去強制を受けたことがある者が、再び退去強制事由に該当した場合など。

5年間: 初めて退去強制手続を受けた場合(不法残留、資格外活動等)。

1年間: 自費出国許可を受けて出国した場合や、特定の要件を満たして「出国命令制度」により出国した場合。ただし、窃盗罪等で拘禁刑に処せられた者は、出国命令制度の対象外となります。

企業が取るべき不法就労防止のための具体的な対策

採用時の徹底した在留資格・身分確認

単に、在留カードを目視するだけでなく、在留カードの有効性・真正性の確認をする必要があります。

出入国在留管理庁在留カード等番号失効情報照会ページ

https://lapse-immi.moj.go.jp/html/top.html

及び

在留カード等読取アプリ

https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/rcc-support.htmlからダウンロード可能

で確認できます。特に、アプリを利用すると在留カード自体の真正性が確認できますので、外国人を雇用する事業者としては必須のアイテムです。

雇用後の適切な労務管理

  1. 安全衛生教育:外国人労働者が実質的に理解できる言語(母国語等)で、作業手順や安全上の注意事項を伝える必要があります。これは安全配慮義務(労働契約法第5条)の一環です。
  2. 36協定の締結・届出:時間外労働や休日労働を行わせる場合は、日本人と同様に36協定の締結と届出が不可欠です。
  3. 雇用労務責任者の選任:外国人労働者を常時10人以上雇用する場合は、人事課長などを「雇用労務責任者」として選任し、雇用管理の改善を図る必要があります。
  4. 外国人雇用状況の届出
    外国人を雇用する全ての事業主(特別永住者、外交・公用を除く)は、雇入れおよび離職の際に、ハローワークへ外国人雇用状況の届け出る義務があります(労働施策総合推進法第28条)。雇用保険被保険者の場合: 資格取得届または喪失届の備考欄に記載し、雇入れは翌月10日まで、離職は翌日から10日以内に提出。雇用保険被保険者でない場合(アルバイト等):「外国人雇用状況届出書」を提出し、雇入れ・離職ともに翌月末日までが期限。罰則:届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりした場合は、30万円以下の罰金に処せられます(同法第40条第1項2号)。

外国人に対しても、日本人と同様、労働法規が適用されます。受入企業が労働法規違反を犯した場合、それが外国人に対するものでなかったとしても、技能実習、2026年4月1日から開始される育成就労、特定技能において、欠格事由となり、今いるこれらの在留資格の外国人を雇用せざるを得なくなるだけでなく、その先5年間雇用できなくなるという厳しいペナルティーがあることに注意を要します。

したがって、外国人に対する労務管理は非常に重要です。

法務・人事担当者の定期的な教育と周知徹底

どの在留資格で、何の活動(仕事)ができるかについては、外国人雇用制度に精通した弁護士等の専門家に指導を受けて、確認することが必要です。

例えば、26対応策でも、技術・人文知識・国際業務に関して、活動の実態に疑義がある案件については、入管職員が勤務先に調査に赴くなどの実態調査を行った上で慎重な審査を行い、不適切な就労の防止を図る、資格活動の疑いのある受入機関等の活動状況を調査し、審査の厳格な運用を行う、受入機関の責任の在り方を含め、受入機関において専門的な業務に従事することを確保するための方策を検討するとされていることからも、外国人雇用に関するコンプライアンス強化は必須です。

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白崎識隆法律事務所では、外国人雇用に関するご相談を受け付けております。過去企業様からのご相談に対応した経験を通し、皆様にとって最適な外国人雇用体制をご提案させていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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