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2025年3月11日に閣議決定された特定技能分野別(介護・工業製品製造業・外食業)運用方針の改正について
1.はじめに
2025年3月11日の閣議決定により、特定技能制度における分野別運用方針が改正されました。本改正では、介護、工業製品製造業、外食業の3つの主要分野において受入れ対象の拡大や制度の見直しが行われました。
遂に、深刻な人材不足に陥っている訪問介護分野でも、特定技能外国人が従事できることになります。また、外食業分野の特定技能外国人の就労は、風営法の許可を受けた旅館・ホテルでも認められることになります(宿泊分野の特定技能外国人は、風営法の許可を受けたホテルでもフロント業務やレストランの接客業務での就労は認められていました。)。
改正点の詳細は以下のとおりです。
2.介護分野の改正
改正前
- 訪問系サービスへの従事は不可
- 特定技能外国人は施設内の介護業務のみ従事可能であり、訪問介護(1対1で提供する在宅サービス)には従事できなかった。
改正後
- 訪問介護への従事を認める
- 訪問介護に従事できる特定技能外国人の条件(下記7つ)
- 介護職員初任者研修課程等を修了
- 介護事業所等での1年以上の実務経験
- 訪問介護業務の基本事項に関する研修受講
- 一定期間、責任者が同行し実地訓練を実施
- 業務内容やキャリアアップ計画の説明と確認
- ハラスメント防止のための相談窓口設置
- 不測の事態に対応できるよう情報通信技術を活用した環境整備
3.工業製品製造業分野の改正
改正前
- 特定技能外国人の受入れ機関は、製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会に所属することが求められていた。
改正後
- 特定技能外国人の適正受入れを担う民間団体を新設
- 受入れ機関にはこの団体への加入を条件付ける。
- 受入れ見込数の大幅増加(5万人 → 17万人)に対応するため、新たな受入れ体制を整備。
- 業務区分の拡大(3区分 → 10区分)。
- 新設団体の役割
- 受入れルールの策定と遵守状況の確認
- 技能試験の運営(試験場所の確保、受験者募集、試験実施)
- 受入れ機関の義務
- 新設団体への加入
- 経済産業省への報告協力
- 生産性向上・国内人材確保に向けた取り組みの実施(例:賃上げ要件の導入)
- 新条件の適用までに経過措置期間を設定
4. 外食業分野の改正
改正前
- 外食業分野の特定技能外国人の就労は、風営法の許可を受けた旅館・ホテルでは認められていなかった。
- 外食業分野の特定技能外国人は、ファミリーレストランのような一般的な飲食店での就労に限定。
改正後
- 旅館業法の許可を受けた宿泊施設では、風営法の許可があっても、外食業分野の特定技能外国人が、飲食提供業務(調理場、食事処、宴会場等)に従事可能となる。
- ハラスメント防止のためのマニュアル整備などを義務付け
5.まとめ
今回の改正では、特定技能外国人の受入れ範囲が拡大され、特に訪問介護、製造業の受入れ団体の新設、風営法許可のある宿泊施設での飲食提供業務における就労解禁が主な変更点となります。これにより、人材不足の解消と特定技能制度のより柔軟な運用が期待されます。
一方で、ハラスメント防止や受入機関の義務強化など、適正な管理を確保するための措置も導入されており、制度の健全な発展を図る改正となっています。
参考:出入国在留管理庁「特定技能制度に係る既存の分野別運用方針の改正について(令和7年3月11日閣議決定)」
https://www.moj.go.jp/isa/03_00123.html
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