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特定技能1号の支援体制の要件変更とは?
特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、職業生活上・日常生活上・社会生活上の支援を行う義務を負い、その体制が整っていることが受入れの前提とされています。この支援体制について、入管法施行規則及び特定技能基準が令和7年法務省令第45号により改正され、2027年4月1日から施行されます。育成就労法による入管法本体の改正も同日に施行され、支援の委託先が法律上限定されます。
同日には、特定技能2号への変更を希望する外国人への技能・日本語能力の修得支援が義務的支援に追加されるなど、支援の内容自体の拡充も施行されます(改正後の特定技能基準省令3条1項1号ル)。自社支援を行う企業には受入れ可能な人数の上限が生じ、登録支援機関に委託している企業には委託先が要件を満たせなくなるリスクが生じます。「登録支援機関に任せているから関係ない」とはいえない改正です。
開始時期はいつか?
施行日は2027年4月1日です。
既存の登録支援機関には、経過的な取扱いが設けられていますが、猶予は限定的です。
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場面 |
取扱い |
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施行日前に新規登録の申請をした場合 |
施行日前の要件で登録の可否が判断される。ただし、その後の更新申請では改正後の要件を満たす必要がある |
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施行日前に登録を受けている場合 |
当該登録の期間が満了する日までは、なお従前の例による |
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2027年7月31日までに登録の期間が満了する場合 |
施行日前に登録の更新の申請をしたときに限り、施行日前の要件で更新を受けられる |
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上記以外の更新 |
改正後の要件を満たさなければ更新を受けられない |
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支援責任者の養成講習 |
2027年4月1日以降であっても、当分の間は講習を修了していなくても差し支えない |
登録の有効期間は5年間ですから、遅くとも次回の更新時までには、すべての登録支援機関が改正後の要件を満たさなければなりません。委託先の登録の満了日を今のうちに確認しておくことが実務上の第一歩です。
登録支援機関の登録の有効期間は5年間です。更新申請は、登録の有効期間満了日の6か月前の月の初日から4か月前の月の月末までに更新申請を行う必要がありますので、有効期間満了日によっては、早目に更新申請を行うことで、施行日前の要件で行けることになります。
厳格化の背景は?
登録支援機関の数は1万機関を超える規模まで拡大した一方で、少人数の担当者が多数の受入れ機関・多数の外国人を抱え、義務的支援が形骸化しているとの指摘が絶えません。
育成就労から特定技能1号へと移行していく制度設計が採られたことで、受入れ規模は今後さらに拡大が見込まれます。今回の改正は、支援体制を「書面上の体制」から「実際に人が張り付いている体制」へと転換させるものといえます。
主な変更点は?6つのポイントを解説
支援委託先の限定
最も影響が大きいのが、委託先の限定です。現行の入管法19条の22第2項は「特定技能所属機関は、契約により他の者に一号特定技能外国人支援の全部又は一部の実施を委託することができる」と定めており、一部の委託であれば、相手方が登録支援機関である必要はありませんでした。運用要領も、支援計画の適正な実施に係る基準を満たしている特定技能所属機関は、その責任の下で複数の第三者に委託できるとしています。
改正後は「特定技能所属機関は、登録支援機関以外の者に一号特定技能外国人支援の全部又は一部の実施を委託してはならない」と規定されます(改正後の法19条の22第2項)。一部であっても、登録支援機関でない事業者への委託はできなくなります。
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場面 |
現行 |
2027年4月1日以降 |
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支援計画の全部の委託 |
登録支援機関に限る(複数の機関への全部委託は不可) |
登録支援機関に限る |
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支援計画の一部の委託 |
相手方の限定なし(登録支援機関以外の第三者にも委託可能) |
登録支援機関に限る |
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受託した支援業務の再委託 |
運用要領上、認められない |
再委託しないこととしていることが登録の要件(施行規則19条の21第11号) |
人材紹介会社、通訳・翻訳会社などに支援業務の一部を外注している企業は、委託先が登録支援機関であるかを確認する必要があります。通訳人の同行のように履行を補助する範囲であれば従来どおり許容されますが、支援業務そのものの委託か履行補助かの線引きは微妙であり、契約書の文言を含めた点検が欠かせません。
登録支援機関による一部支援が可能
その裏返しとして、登録支援機関の位置づけも変わります。現行の法19条の23第1項は、登録を受けられる者を「委託を受けて支援計画の全部の実施の業務を行う者」としており、全部委託を受ける存在として設計されていました。改正後は「全部又は一部の実施の業務を行おうとする者」と改められ、一部の支援のみを受託する登録支援機関が法律上認められます。自社で大部分を行いつつ、事前ガイダンスや母国語での相談対応だけを委託する設計が可能となります。
もっとも、義務的支援のうち「定期的な面談の実施、行政機関への通報」については、現行の運用要領も一部委託の場合に第三者への委託を認めていませんでした。改正はこれを省令上明記し、登録支援機関に委託するのであれば支援計画の全部の実施を委託していなければならないとします(改正後の特定技能基準省令4条5号)。「面談だけを外注する」ことはできません。
支援責任者・担当者等の常勤
人的体制の要件は、自社支援・登録支援機関の双方で強化されます。改正の中核は、「常勤」と「事業所(事務所)ごと」という二つの縛りが同時にかかる点にあります。
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項目 |
現行 |
2027年4月1日以降 |
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自社支援 支援責任者 |
役員又は職員から選任(常勤であることを問わない・機関単位で1名) |
常勤の役員又は職員から、事業所ごとに1名以上 |
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自社支援 支援担当者 |
役員又は職員から、事業所ごとに1名以上(常勤が望ましいとされるにとどまる) |
常勤の役員又は職員から、事業所ごとに1名以上 |
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登録支援機関 支援責任者 |
役員又は職員から選任(常勤であることを問わない・機関単位で1名) |
常勤の役員又は職員から、支援業務を行う事務所ごとに1名以上 |
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登録支援機関 支援担当者 |
役員又は職員から、事務所ごとに1名以上 |
常勤の役員又は職員から、事務所ごとに1名以上 |
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支援責任者の講習 |
要件なし |
過去3年以内に法務大臣が告示で定める講習を修了していること |
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登録支援機関の実績要件 |
過去2年間の中長期在留者の受入れ・管理の実績等 |
過去5年間に1年以上の受入れ・管理の実績等(要件を具体化) |
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兼務 |
支援責任者が支援担当者を兼ねることが可能 |
同左(兼務は引き続き可能) |
外部の個人に業務委託で支援責任者を委嘱していた、本社に支援責任者を1名だけ置いて全国の事業所をカバーしていた、といった運用は成り立たなくなります。
支援担当者の配置基準導入
さらに、支援担当者の人数に担当量に応じた配置基準が導入されます。登録支援機関については、事務所ごとの支援担当者の数が、①支援対象の1号特定技能外国人の数を50で除して得た数と、②委託元の特定技能所属機関の数を10で除して得た数のいずれか多い数を超えていることが必要です(改正後の施行規則19条の21第3号)。
自社支援の場合も、事業所ごとの支援担当者の数が、支援対象の外国人の数を50で除して得た数を超えていることが必要です(改正後の特定技能基準省令2条2項2号)。
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支援対象の外国人数/委託元の機関数 |
必要な支援担当者数(登録支援機関の場合) |
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外国人50人未満・委託元10機関未満 |
1人 |
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外国人120人・委託元25機関 |
3人(120÷50=2.4、25÷10=2.5のいずれも超える数) |
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外国人160人・委託元15機関 |
4人(160÷50=3.2を超える数) |
支援担当者1人が担当できるのは、外国人50人未満かつ委託元10機関未満です。数百名の支援を数名で回してきた登録支援機関は、大幅な増員か受託件数の絞り込みを迫られます。
支援業務ができる者の限定
改正後は、支援責任者及び支援担当者以外の者が支援業務に係る支援を行わないこととしていることが、登録支援機関の登録の要件とされます(改正後の施行規則19条の21第10号)。加えて、委託を受けた支援業務を他の者に再委託しないこととしていることも、明文の要件とされました(同条第11号)。
選任していない一般の職員が生活相談に応じている、提携先の通訳会社に対応を丸投げしているといった運用は、要件違反となり得ます。誰が支援を行う者なのかを社内で明確にし、支援記録とも一致させておく必要があります。
支援実績・費用のインターネット公表の義務化
登録支援機関は、支援業務に係る支援の実績並びに当該支援業務に要する費用の額及びその内訳を、インターネットを利用して公衆の閲覧に供する方法により公表することとしていなければなりません(改正後の施行規則19条の21第12号)。
現行法上、費用の額及びその内訳は、委託契約の締結に当たって委託元の特定技能所属機関に示せば足り(現行の施行規則19条の21第9号)、一般に公開する義務はありませんでした。改正により、支援手数料の水準と実績が誰にでも比較可能な情報となります。
登録支援機関を利用する企業が検討するべきポイント
委託先支援機関の人員体制
まず確認すべきは、委託先の登録支援機関が改正後の配置基準を満たせるかどうかです。①事務所ごとに常勤の支援責任者・支援担当者が選任されているか、②当該事務所が受託している機関数と支援対象の外国人数、③それに対する支援担当者の人数を、書面で確認しておくとよいでしょう。委託先が登録を失えば、企業側が支援体制の基準を満たさないこととなり、在留期間の更新許可等に直接影響します。
登録支援機関の切り替えの検討
体制に不安があるのであれば、早めの切り替えを検討すべきです。公表義務が始まれば実績と費用が比較可能になりますが、他社も一斉に動くことを考えれば、施行を待たずに動く必要があります。切り替えには、支援計画の変更に係る届出、本人への説明、引継ぎ期間中に支援の空白を生じさせない手当てが必要です。
自社支援への切り替え
一部委託が法律上認められることを踏まえ、自社支援へ切り替える、あるいは自社支援を基本としつつ一部だけを委託するという選択肢も現実味を帯びます。ただし、自社支援でも、事業所ごとに常勤の支援責任者・支援担当者を置き、支援担当者1人当たり外国人50人未満とする基準を満たさなければなりません。
加えて、支援責任者・支援担当者は外国人を監督する立場にない中立な者である必要があり、現場の管理職を充てることはできません。委託料は削減できますが、その分の人件費と管理コストが社内に移ります。受入れ人数と事業所の数を踏まえ、三つの選択肢を数字で比較することが有益です。
専門家に相談するべき理由
今回の改正は、単に委託先を選び直せば足りるものではありません。誰を支援責任者・支援担当者とするかは人事配置の問題であり、常勤性の判断は雇用契約の内容と就労の実態に左右されます。中立性の要件は、指揮命令系統と支援体制を分離できているかという組織設計の問題です。支援委託契約、支援計画、社内規程、雇用契約書に齟齬があれば、実地調査等の場面で指摘を受けます。
また、支援体制の不備は在留資格の不許可という形で顕在化するため、発覚した時点では既に外国人従業員本人の在留に影響が及んでいることが少なくありません。施行までに時間があるうちに現状の体制を条文に照らして点検することが、最も費用対効果の高い対応です。
当事務所には外国人雇用法務・労務に精通した弁護士と社会保険労務士が在籍しており、入管法の観点からの体制点検と労務の観点からの制度設計を一体で行えます。
外国人雇用に関するご相談は白﨑識隆法律事務所・白﨑FHR経営労務事務所まで
2027年4月1日から、1号特定技能外国人の支援体制に係る要件が大きく厳格化されます。支援の委託先は登録支援機関に限定される一方で、登録支援機関による一部支援が法律上認められます。支援責任者・支援担当者は事業所(事務所)ごとに常勤の役員又は職員から選任することが必要となり、支援担当者1人当たりの担当上限(外国人50人未満、委託元10機関未満)が導入されるほか、従事者の限定、再委託の禁止、支援実績・費用の公表も課されます。
企業に求められるのは、①委託先の人員体制と登録の有効期間の確認、②支援委託契約・支援計画の点検、③自社支援や一部委託を含めた受入れ体制の再設計の三点であり、いずれも施行前に着手すべき事項です。
当事務所は、外国人雇用・労務に特化した法律事務所として、受入れ体制の構築から在留手続、入管対応、就業規則・人事制度の設計、労務トラブルの解決までを一貫してサポートしています。支援体制の見直しや登録支援機関の選定など、お悩みの際はお気軽にご相談ください。
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