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外国人労働者を派遣で雇用する場合の注意点を弁護士が解説

外国人雇用を行う際の基礎知識 

深刻な人手不足を背景に、外国人材の受入れは多くの企業にとって現実的な選択肢となっています。その中で、「まずは派遣で受け入れてみたい」、「派遣会社から外国人を紹介されたが問題ないのか」というご相談を数多くいただきます。 

結論からいえば、外国人を派遣形態で受け入れることは可能です。ただし、直接雇用の場合とは異なる注意点があり、しかもその多くは派遣先企業にも及びます。「雇用主は派遣会社だから自社は関係ない」という理解は誤りであり、この誤解こそが最も大きなリスクです。本コラムでは、外国人雇用の基礎から、派遣形態特有の注意点までを解説します。 

在留資格とは 

在留資格とは、外国人が日本に滞在して一定の活動を行うことを認める法律上の資格です。入管法に定められており、現在30種類近くが設けられています。外国人は、付与された在留資格で認められた活動の範囲内でのみ、日本に滞在し、働くことができます。 

重要なのは、在留資格が「日本にいてよい」という許可であると同時に、「どのような活動をしてよいか」を画する枠でもあるという点です。認められた範囲を超えて働かせれば、外国人本人は不法就労となり、働かせた企業は不法就労助長罪に問われます。この罪は、現行法では3年以下の拘禁刑又は300万円以下(併科の場合あり)の罰金ですが、2024年に成立した改正法により、2027年4月1日から、5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金(併科の場合あり)へと引き上げられることが決まっており、今後さらに重い責任が課されます。 

就労可能な在留資格 

就労の可否という観点からは、在留資格は大きく三つに分けられます。 

第一に、活動内容に応じて就労が認められる在留資格です。「技術・人文知識・国際業務」、「技能」「経営・管理」、「介護」、「特定技能」、「技能実習(2027年4月からは育成就労)」などがこれに当たり、認められた業務の範囲でのみ就労できます。第二に、「永住者」、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」、「定住者」といった身分・地位に基づく在留資格です。これらには就労制限がなく、単純作業を含めどのような業務にも従事できます。第三に、「留学」、「家族滞在」など、原則として就労が認められない在留資格です。ただし資格外活動許可を受ければ、原則として週28時間以内での就労が可能となります。 

派遣形態で受け入れる場合も、この区別が出発点となります。特に、単純作業を含む現場業務を任せたい場合には、身分・地位に基づく在留資格の方か、資格外活動許可を得た留学生等でなければ従事できない点に注意が必要です。 

外国人雇用は派遣でも可能なのか 

労働者派遣法上、外国人であることを理由に派遣が禁止されているわけではありません。したがって、適法な在留資格を有する外国人を派遣労働者として受け入れることは可能です。実際、製造業や物流を中心に、外国人派遣労働者の受入れは広く行われています。 

もっとも、在留資格の種類によっては派遣が制限され、あるいは事実上難しくなります。ここを誤ると、受入れそのものが違法となりかねません。 

派遣での雇用が可能な在留資格・業種 

在留資格ごとの派遣の可否は、おおむね次のとおりです。 

在留資格 

派遣形態の可否 

主な留意点 

技術・人文知識・国際業務 等の就労資格 

 

派遣先での業務が当該在留資格に該当する専門的業務であることが必要。単純作業は不可 

永住者・定住者・日本人の配偶者等(身分・地位に基づくもの) 

 

就労制限がなく、派遣先の業務内容を問わない 

留学・家族滞在(資格外活動許可) 

 

原則として週28時間以内。風俗営業等の場所での就労は不可 

特定技能 

原則不可 

農業分野・漁業分野に限り派遣が認められる 

育成就労(2027年4月〜) 

原則不可 

季節性のある分野に限り可。派遣元・派遣先が共同で育成就労計画の認定を受ける必要がある 

「技術・人文知識・国際業務」などの就労資格については、派遣形態それ自体は禁止されていませんが、派遣先での業務が当該在留資格に該当する専門的な内容でなければなりません。単純作業に従事させることはできません。これに対し、身分・地位に基づく在留資格の方は就労制限がなく、派遣先の業務内容を問いません。 

特定技能については、原則として直接雇用が求められており、労働者派遣が認められるのは農業分野と漁業分野に限られます。これは、季節による作業量の変動が大きいという産業特性を踏まえた例外です。2027年4月に始まる育成就労制度でも同様に、季節性のある分野に限って派遣形態が認められますが、この場合は派遣元と派遣先が共同で育成就労計画を作成して認定を受け、あらかじめ派遣先ごとの派遣時期を定めておく必要があります。加えて、監理支援機関による監査は派遣元・派遣先の双方に対して行われます。 

派遣での外国人雇用を行う場合の注意点 

ここからは、派遣形態で外国人を受け入れる際に、派遣先・派遣元の双方が押さえておくべき実務上の注意点を整理します。 

在留資格が正しいかどうか 

(1)在留資格と在留期限を自社でも確認する 

まず確認すべきは、その外国人が持つ在留資格と在留期限です。派遣労働者の在留資格の申請を行うのは、雇用主である派遣元です。しかし、確認を派遣元に完全に委ねてしまうことは危険です。過去には、派遣会社を通じて受け入れていた外国人が資格外の業務に従事していたとして、派遣先企業が不法就労助長罪で書類送検された事例も報じられています。 

(2)新様式の在留カードへの対応 

実務上の留意点として、2026年6月14日以降に交付される新しい様式の在留カードには、「在留期間」、「許可の種類」、「許可年月日」が券面に記載されなくなりました。入管庁の読取アプリでも、改修版が出るまではこれらの項目が表示されません。在留期間の満了日は引き続き確認できますが、期限管理の手順を見直す必要があります。在留期間そのものは住民票で確認できますので、派遣元における管理方法をあらかじめ確認しておくことをお勧めします。 

(3)派遣先による確認の限界と派遣契約での担保 

なお、派遣先が派遣労働者から直接在留カードの提示を受けることには、個人情報保護の観点から制約があります。そのため実務上は、派遣契約の締結時に、派遣元が在留資格・在留期限の確認と管理を適切に行っている旨を確認し、必要に応じて資料の提示を求めるという形で担保することが現実的です。 

業務内容が派遣形態に対応しているかどうか 

(1)在留資格該当性は「派遣先の業務内容」で判断される 

派遣形態に特有かつ最も重要な論点が、在留資格該当性の判断基準です。外国人が派遣労働者として就労する場合、在留資格該当性は、雇用主である派遣元の業務内容ではなく、実際に指揮命令を受けて働く派遣先での業務内容を基準に判断されます。 

したがって、派遣元が申請時に想定していた業務と、派遣先で実際に行わせる業務が食い違えば、在留資格の取消しや、次回更新時の不許可につながります。申請時の派遣予定先と実際の派遣先が異なる場合も同様です。派遣先としては、業務内容を派遣元に正確に伝え、在留資格との整合性を事前にすり合わせておく必要があります。特に「技術・人文知識・国際業務」の方に、繁忙期だからといって現場作業を手伝わせるといった運用は、典型的なリスク要因です。 

(2)2026年7月に入管庁が示した「技術・人文知識・国際業務」の派遣の取扱い 

出入国在留管理庁は、2026年(令和8年)7月、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもって派遣形態で就労する場合の取扱いを明らかにしました。派遣形態での受入れを検討する企業にとって、実務上の影響が大きい内容です。 

第一に、申請の時点で派遣先が確定していなければ、在留諸申請の許可等を受けることができないとされました。「まず在留資格を取得し、派遣先は後から決める」という進め方はできません。例外として、新規採用者に対する採用直後の研修を終えなければ派遣先が決まらない場合には、その事情を踏まえた審査が行われますが、この場合も、研修内容を示す資料や、従事予定業務の範囲を具体的に記載した労働条件通知書、派遣先の決定に関する誓約書などの提出が求められます。派遣先が決まった後は、速やかに派遣先用の誓約書を作成・保管し、次回の在留期間更新許可申請時に提出しなければならず、合理的な理由なく提出できない場合には、今後の審査における消極事由として扱われます。 

第二に、2026年(令和8年)3月9日申請分から、提出書類が変更されています。派遣形態の場合には、派遣元用・派遣先用それぞれの「申請人の派遣労働に関する誓約書」、労働条件通知書(雇用契約書)、労働者派遣個別契約書の提出が必要です。在留期間更新許可申請では、これらに加えて派遣元管理台帳、派遣先管理台帳、就業状況報告書の提出も求められます。派遣先管理台帳は派遣先が作成するものですので、派遣先の協力なしには更新申請が整わない点に注意が必要です。 

第三に、派遣形態の場合、在留期間は派遣契約期間に応じて決定されるとされました。短期の派遣契約を繰り返す運用では、短い在留期間しか得られず、更新の手続と手数料が繰り返し発生することになります。安定的に人材を確保したいのであれば、派遣契約の期間設定そのものを見直す必要があります。 

第四に、在留審査に当たっては、派遣元だけでなく派遣先に対しても、業務内容や活動状況について直接確認が行われる場合があるとされています。派遣先にとっても、実際の業務内容を説明できる状態にしておくことが不可欠です。要点は次のとおりです。 

項目 

入管庁が示した取扱い 

適用時期 

2026年(令和8年)3月9日申請分から提出書類が変更 

派遣先の確定 

申請時点で派遣先が確定していない場合は許可等を受けられない(採用直後の研修後でなければ派遣先が決まらない場合は例外的な取扱いあり) 

主な追加提出書類 

派遣労働に関する誓約書(派遣元用・派遣先用)、労働条件通知書(雇用契約書)、労働者派遣個別契約書。更新申請では派遣元管理台帳・派遣先管理台帳・就業状況報告書も必要 

在留期間 

派遣契約期間に応じた在留期間が決定される 

審査方法 

派遣元のほか、派遣先に対しても業務内容・活動状況の直接確認が行われる場合がある 

(3)労働者派遣法上のルールと偽装請負 

また、労働者派遣そのもののルールにも注意が必要です。同一の組織単位への派遣は原則3年が上限であること、日雇派遣が原則として禁止されていること、離職後1年以内の元従業員を派遣労働者として受け入れられないことなどは、外国人か否かを問わず適用されます。さらに、請負・業務委託契約の形式をとりながら、発注者が実際には労働者に直接指揮命令を行ういわゆる「偽装請負」にも注意が必要です。これは実質的には無許可の労働者派遣に当たり得るほか、労働者派遣法40条の6により、発注者が当該労働者に対して直接雇用の申込みをしたものとみなされる場合があります。外国人については、契約上の形式と実際の指揮命令関係が食い違うことで、誰がどの業務内容を前提に在留資格を管理するのかが不明確となり、不法就労助長のリスクを高める点でも重大な問題です。 

派遣会社が適法に業務を行っているかどうか 

(1)労働者派遣事業の許可の有無 

派遣元が労働者派遣事業の許可を受けているかどうかは、必ず確認してください。無許可の事業者から労働者派遣を受けること自体が違法です。 

(2)入管法違反は派遣事業の許可取消しに直結する 

さらに注意すべきは、入管法違反と派遣事業許可の関係です。派遣元の代表者等が不法就労助長罪により罰金刑に処せられると、労働者派遣法上の欠格事由に該当し、派遣事業の許可が取り消されます。実際に、入管法違反を理由として許可が取り消された事例が公表されています。許可が取り消されれば派遣契約は継続できず、受け入れていた派遣先は突然人員を失うことになります。派遣元のコンプライアンス体制は、派遣先にとっても事業継続に関わる問題です。 

(3)誓約書の内容を理解し、実際の運用を一致させる 

前記の誓約書において、派遣元は、在留資格の活動範囲と申請書に記載した活動内容を申請人本人と派遣先に説明して理解させていること、入管の実地調査等に応じること、派遣先においても調査に応じることを確認していること、派遣先が変わった場合はその都度同様の対応を行うことを誓約します。派遣先も、活動内容を理解して当該活動に申請人を従事させること、調査に応じることを誓約します。 

これらの誓約に違反した場合、当該機関が所属機関となる外国人の在留諸申請について、許可等を受けられない可能性があるとされています。派遣元にとっては、1件の不適切な運用が、他の在留外国人の申請にまで影響し得るということです。誓約書は形式的に押印して終わりにするのではなく、記載された内容を実際の運用に落とし込むことが不可欠です。 

(4)その他の確認事項(届出・待遇・安全衛生教育) 

このほか、外国人雇用状況の届出(雇入れ・離職の都度、ハローワークへ届出。怠れば30万円以下の罰金)は派遣元の義務であること、賃金・労働時間等について国籍を理由とする差別的取扱いが禁止されること(労働基準法3条)、派遣労働者の待遇について派遣先均等・均衡方式又は労使協定方式による同一労働同一賃金の対応が必要であることも、確認しておくべき事項です。安全衛生教育についても、雇入れ時教育は派遣元、危険有害業務に係る特別教育は派遣先が責任を負うという分担があり、日本語が十分でない方には、母国語や図解、視聴覚教材を用いて実質的に理解できる方法で行うことが求められます。裁判例でも、日本語での説明にとどめた教育は不十分と判断されています。 

派遣元・派遣先の主な役割分担は次のとおりです。 

項目 

派遣元(雇用主) 

派遣先 

在留資格・在留期限の確認 

○(雇入れ時に確認・期限管理) 

△(派遣元との事前すり合わせにより確認) 

在留資格の申請 

○(派遣先の業務内容に基づき申請) 

―(業務内容を正確に伝える協力が必要) 

外国人雇用状況の届出(ハローワーク) 

○(怠れば30万円以下の罰金) 

 

雇入れ時の安全衛生教育 

 

―(機械・作業内容の情報提供等の協力) 

危険有害業務に係る特別教育 

 

 

労働時間・休憩・休日の管理 

○(枠組みの設定) 

○(実際の労働時間管理) 

不法就労助長罪のリスク 

 

○(指揮命令を行う立場として責任を負い得る) 

弁護士に相談するメリット 

派遣形態での外国人受入れは、リスクを抑えつつ人材を確保できる有効な手段ですが、入管法と労働者派遣法という二つの複雑な法領域が交差する分野でもあります。専門家に相談するメリットを整理します。 

適法な雇用を進めることで、長期的な外国人雇用が可能 

在留資格と実際の業務内容の整合性を事前に確認し、派遣契約書や業務内容の記載を適切に整えておけば、在留資格の取消しや更新不許可といった事態を避けることができます。これは、せっかく育てた人材を失わないための投資でもあります。 

また、不法就労助長罪に問われれば、刑事責任にとどまらず、特定技能や育成就労の受入れができなくなり、派遣事業者であれば許可の取消しにも直結します。適法性を確保しておくことが、結果として長期的・安定的な外国人雇用を可能にします。 

自社で必要な人材に関する最適な方法をご提案 

派遣が最適な選択肢とは限りません。任せたい業務の内容によっては、そもそも就労資格の方を派遣で受け入れること自体が難しく、身分・地位に基づく在留資格の方の直接雇用や、特定技能・育成就労による受入れの方が適していることもあります。 

当事務所には、外国人雇用法務・労務に精通した弁護士と社会保険労務士が在籍しており、入管法の観点と、労務管理・社会保険の観点の双方から、貴社の人員計画に適した受入れ方法をご提案します。派遣・直接雇用・特定技能などの選択肢を比較したうえで、必要な社内体制や規程の整備までを一体でご支援できる点が特徴です。 

万が一のトラブル対応まで依頼可能 

万が一、入管や労働局の調査を受けた場合、あるいは派遣労働者との間で賃金や労働災害をめぐる紛争が生じた場合には、初動対応が結果を大きく左右します。派遣形態では、派遣元と派遣先のいずれが責任を負うのかという整理も必要となり、当事者だけでの対応は容易ではありません。 

当事務所は、平時の体制整備から、行政対応、紛争対応までを一貫してお引き受けしています。社会保険労務士の視点からは、就業規則・賃金規程の整備、同一労働同一賃金への対応、労働時間管理体制の見直しといった予防的なコンサルティングも併せてご提供します。 

外国人雇用に関する疑問は、当事務所までご相談ください 

外国人を派遣形態で受け入れることは可能ですが、在留資格該当性が派遣先の業務内容を基準に判断されること、派遣先も不法就労助長罪の対象となり得ること、特定技能・育成就労では派遣が認められる分野が限られていることなど、直接雇用とは異なる注意点があります。 

特に「技術・人文知識・国際業務」については、2026年に入管庁が派遣形態の取扱いを明確化し、申請時点での派遣先の確定、誓約書や管理台帳等の提出、派遣契約期間に応じた在留期間の決定といったルールが示されました。派遣先の協力がなければ申請が整わない場面も生じますので、派遣元・派遣先の双方で対応を確認しておく必要があります。 

「派遣会社に任せているから大丈夫」という前提を一度見直し、派遣契約の内容、業務内容と在留資格の整合性、在留期限の管理方法を確認することをお勧めします。当事務所は、外国人雇用・労務に特化した法律事務所として、弁護士と社会保険労務士が連携し、派遣元・派遣先いずれのお立場からのご相談にも対応しています。派遣形態での外国人雇用にご不安のある方は、お気軽にご相談ください。 

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