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外国人雇用に関する相談は誰にするべき?専門家が解説
外国人雇用は複雑な分野
外国人雇用は、入管法と労働法という二つの異なる法領域が同時に関わる分野です。在留資格の要件を満たしているか、業務内容が在留資格に対応しているか、労働条件が適法か、社会保険は適正に適用されているか。これらは互いに関連しており、どれか一つでも欠ければ、不許可や在留資格の取消し、さらには刑事責任にまで発展することがあります。
しかも、制度の動きは非常に速いのが実情です。2026年に入ってからも、6月には在留カードの様式が変更されて券面から在留期間の記載がなくなり、分野別の受入れルールの新設・改定も相次いでいます。2027年4月には育成就労制度が始まり、在留許可手数料の引上げも控えています。これらを社内の担当者だけで追い続けることは、現実的には容易ではありません。だからこそ、どこに相談するかという判断が重要になります。
外国人雇用に関する相談が必要になる主な場面
外国人雇用に関する相談は、大きく三つの場面に分けられます。それぞれ求められる専門性が異なる点に注意が必要です。
在留資格・ビザに関する相談(採用時)
最も多いのが、採用の場面での相談です。「この経歴の方を、この業務で採用できるか」という在留資格該当性の判断は、外国人雇用の入口であり、同時に最も誤りやすいところでもあります。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、大学等での専攻内容と職務内容との関連性が求められ、単純作業に従事させることはできません。特定技能では分野ごとに従事できる業務が定められ、原則として直接雇用が求められます。転職者を採用する場合には、就労資格証明書の取得を検討すべき場面もあります。これらの判断を誤ったまま採用を進めれば、不許可となって採用計画が崩れるだけでなく、就労を開始させてしまえば不法就労助長罪のリスクが生じます。
なお、「技術・人文知識・国際業務」のうち、日本語又は外国語を用いて顧客や取引先と直接やり取りする業務に従事する場合には、一定以上の言語能力が求められることがあります。こうした業務は、翻訳・通訳や語学指導に限られるものではありません。たとえば、外国人観光客に対応するホテルのフロント業務や、日本企業を取引先として日本語で折衝・営業を行う業務など、対人・対顧客のコミュニケーションを中心とする幅広い職種が含まれ得ます。これらの業務では、使用する言語についてCEFR(外国語運用能力の国際指標)のB2相当以上が求められ、日本語であれば日本語能力試験(JLPT)のN2相当以上が一つの目安となります。求人票上は日本語を使う業務であっても、必要な言語能力の水準を満たしていなければ在留資格該当性が否定されることがあり、採用前の確認が欠かせません。
労働条件・労務管理に関する相談
採用後は、労務管理の場面での相談が中心になります。就業規則や賃金規程の整備、労働時間の管理、社会保険・労働保険の適用、割増賃金の計算、有給休暇の付与といった論点は、日本人従業員と同じく外国人にも適用されます。
もっとも、外国人雇用に特有の配慮が必要な部分もあります。労働条件の明示は、本人が理解できる言語や方法で行うことが求められます。安全衛生教育についても、日本語のみの説明では不十分と判断された裁判例があり、母国語や図解、視聴覚教材を用いた実質的な理解の確保が必要です。また、国籍を理由とする賃金や労働時間の差別的取扱いは労働基準法3条により禁止されており、寮費の控除の仕方によっては最低賃金法との関係が問題となることもあります。これらは、入管法の知識だけでは対応できない領域です。
外国人本人からの相談(労働条件、人権問題等)
外国人従業員本人から、賃金や残業代、ハラスメント、寮の環境、転職の可否といった相談が寄せられることもあります。近年は、SNSや同国人コミュニティを通じて情報が共有されており、企業側の対応が不十分であれば、労働基準監督署への申告や、労働組合を通じた団体交渉、あるいは在留資格の届出を通じて入管に情報が届くことも珍しくありません。
とりわけ本人の人権に関わる問題は、単なる社内トラブルにとどまりません。まず、暴行・脅迫や、労働者の意思に反した強制労働、旅券・在留カードの取上げといった行為は、刑事罰や入管法上の制裁の対象となり得る、それ自体が違法な行為です。これとは別に、技能実習・育成就労・特定技能の各制度では、「外国人の人権を著しく侵害する行為」を行っていないことが受入れの要件とされ、これに反すれば受入れ機関や監理団体・監理支援機関の欠格事由・許可の取消事由となります。運用要領では、その代表例として役職員による暴行や暴言が挙げられるほか、人権擁護機関において人権侵犯の事実が認められた場合や、本人の意に反して預金通帳を取り上げていた場合などが示されています。さらに、人権を著しく侵害する行為は暴力行為に限られず、大声で怒鳴る、侮辱するといった行為や、セクシュアルハラスメントなども含まれるとされています。指導のつもりの言動であっても該当し得るため、対応を誤れば、当該外国人との関係だけでなく、制度に基づく外国人受入れそのものができなくなるおそれがあります。
こうした相談は、初期段階で適切に対応できれば大きな紛争になりません。逆に、対応を誤って本人の不信感を招けば、離職や紛争に発展し、受入れ体制そのものの適正性を問われる事態にもなります。労働法の知識と、外国人特有の事情への理解の双方が求められる場面です。
外国人雇用に関する悩みを相談できる専門家
外国人雇用の相談先には、それぞれ制度上の役割と守備範囲があります。相談内容に応じて使い分けることが大切です。
入管庁の職員
出入国在留管理庁は、外国人在留総合インフォメーションセンターや外国人在留支援センター(FRESC)などの窓口を設けており、在留手続の一般的な案内を受けることができます。申請書類の記載方法や必要書類の確認といった手続面の疑問については、有用な窓口です。
ただし、入管庁は審査を行う立場にあります。個別の事案について許可の見通しを示したり、企業側の立場に立って受入れ方法を設計したりすることは、その役割ではありません。また、労働条件や社会保険といった労務の問題は、そもそも所管外です。手続の確認先としては適していますが、経営判断を伴う相談先としては限界があります。
監理団体・監理支援機関・登録支援機関の職員
技能実習制度における監理団体、2027年4月に始まる育成就労制度における監理支援機関、そして特定技能における登録支援機関は、いずれも制度上の重要な担い手です。
登録支援機関は、1号特定技能外国人に対する事前ガイダンス、生活オリエンテーション、住居確保の支援、公的手続への同行、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、定期的な面談など、法令で定められた義務的支援を実施します。監理団体・監理支援機関は、受入れ機関への監査・指導や、外国人からの相談対応を担います。日々の受入れ実務において、これらの機関が果たしている役割は非常に大きく、現場に密着した知見を有しています。
他方で、これらの機関は制度上、法律事務や法的判断を行う立場にはありません。たとえば登録支援機関が業として入管への申請書類を作成することはできず、申請の取次ぎができるのも、受入れ機関の職員か、届出をした弁護士・行政書士に限られます。労働条件の適法性の判断や、紛争が生じた場合の対応も、その役割の外にあります。制度自体が、監理支援機関に弁護士・社会保険労務士・行政書士等の外部監査人を関与させる仕組みを設けていることからも分かるとおり、法的な判断は、法律の専門家が担うことが前提とされているのです。したがって、支援機関に相談すべきことと、法律専門家に相談すべきことを切り分けることが重要です。
弁護士・社会保険労務士・行政書士
法律に関する判断を伴う相談は、士業に委ねることになります。それぞれ得意分野が異なります。
この中で最も広く対応できるのが弁護士です。弁護士は、在留資格に関する申請取次から、雇用契約書の作成・審査、就業規則の整備、行政処分への対応、労使紛争や刑事事件への対応まで、入管手続と労務管理のいずれにも対応することができます。加えて、企業を代理して、相手方や行政機関との交渉・折衝を対外的に行うことができるのは弁護士だけです。紛争性のある事案の交渉や代理を業として取り扱えるのも弁護士に限られます。社会保険労務士は、労働・社会保険の手続、就業規則や賃金規程の整備、労働時間管理体制の構築、労働基準監督署への対応など、労務管理全般を担います。行政書士は、在留資格認定証明書の交付申請や在留期間更新許可申請などの入管手続の書類作成を業として行うことができ、申請取次の届出をしていれば本人に代わって申請書類を提出することもできます。
外国人雇用では、入管法上の問題と労務上の問題が同時に発生することが多いため、複数の視点を一体で確保できるかどうかが結果を左右します。相談先が分かれていると、入管法の観点からの助言と労働法の観点からの助言が食い違い、企業が判断に迷うことも少なくありません。主な相談先の守備範囲は、次のとおりです。
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相談先 |
主な役割・対応できること |
留意点 |
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入管庁の窓口(インフォメーションセンター、FRESC等) |
在留手続の一般的な案内、必要書類の確認 |
審査を行う立場であり、個別事案の許可の見通しの提示や企業側に立った設計は行わない。労務は所管外 |
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監理団体・監理支援機関 |
受入れ機関への監査・指導、外国人からの相談対応、現場に密着した実務上の助言 |
法的判断や紛争対応は制度上の役割の外にある |
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登録支援機関 |
1号特定技能外国人への義務的支援(事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談・苦情対応、定期面談等) |
業として入管申請書類を作成することはできない。労働条件の適法性の判断も範囲外 |
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弁護士 |
入管手続(申請取次)から契約書作成・審査、就業規則の整備、行政処分対応、労使紛争・刑事事件まで、入管と労務のいずれにも対応可能。対外的に代理人として交渉・折衝を行えるのは弁護士のみ |
― |
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社会保険労務士 |
労働・社会保険の手続、就業規則・賃金規程の整備、労働時間管理体制の構築、労働基準監督署への対応 |
― |
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行政書士 |
入管手続の書類作成、申請取次(届出をしている場合) |
紛争性のある事案の交渉・代理は取り扱えない |
誤った相談先を選ぶリスク
相談先の選択を誤ると、次のようなリスクが現実化します。
(1)不法就労助長罪のリスク
在留資格該当性の判断を誤ったまま就労させてしまうリスクです。不法就労助長罪は、現行法でも3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はこれらの併科ですが、2024年に成立した改正により、2027年4月1日から5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又はこれらの併科へと引き上げられます。有罪となれば、特定技能や育成就労の受入れができなくなり、派遣事業者であれば許可の取消しにも直結します。
(2)労働関連法令違反に関するリスク
労務管理の不備が後から表面化するリスクです。未払残業代、社会保険の未加入、安全衛生教育の不足などは、労働基準監督署の調査や労災事故を契機に一気に顕在化します。これらは、受入れ機関としての適格性の判断にも影響します。
(3)判断の先送りによる損失
在留期限が迫ってから相談しても取り得る選択肢は限られます。採用の前、体制を作る段階で相談していれば防げた問題が、事後には回復困難となることが少なくありません。
外国人雇用に関するご相談は白﨑識隆法律事務所まで
外国人雇用を安定させるために必要なのは、問題が起きてから相談することではなく、日常的に相談できる体制を持つことです。制度が毎月のように動く分野である以上、最新の情報を踏まえて自社の状況を確認し続けられる伴走者が必要になります。
当事務所には、外国人雇用法務・労務に精通した弁護士と社会保険労務士が在籍しています。在留資格該当性の判断や入管対応といった入管法の観点と、就業規則・賃金制度・労働時間管理・社会保険といった労務の観点の双方を、一つの窓口でまとめてお引き受けできることが特徴です。入管手続と労務管理を別々の相談先に依頼する必要がなく、ワンストップで一貫した助言を受けられるため、助言の食い違いや対応の抜け漏れを防ぐことができます。
採用を検討している段階でのご相談から、受入れ体制の整備、入管や労働基準監督署への対応、労使紛争の解決まで、一貫してお引き受けしています。外国人雇用に関するお悩みは、お気軽に当事務所までご相談ください。
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